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2012/02/26

朝露や

今回ご紹介するカードは Au Bon Marché のトレード・カードです。惚れ惚れするような、石版印刷の繊細さが愉しめます。

ピンクを基調に白をアクセントにしたドレスを着た女の子が、水をためた樽の側で、花を愛でています。朝顔のような花をつけた蔓植物ですけど、何の種類かは特定できません。

二羽の鳥はかなり栄養状態に恵まれているようで(笑)、顔がまるで人のよう (^^;; 少女とは人の言葉で会話していそうで、メルヒェンと言えばメルヒェンかも知れません...。微妙な二羽です。


サーモン・ピンクとモス・グリーンが基調で、グレイを加えた濁りはあるけれど柔らかな色味で統一されています。そのせいか、ソフト・フォーカスの写真を彷彿させるような効果が出ているように思えます。朝露がおりて、植物の匂いが一層強まる時間帯を見ているような気がしました。

スマートフォンのカメラなので、繊細さがお伝えできないのがとっても残念...。霧がかった幻想を導き出すほど繊細な色調のトレード・カードは贅沢だなあと、感動した一枚なんです。

2012/02/01

あれは誰?

今日のクロモスは、フランスの百貨店 Au Bon Marché のトレード・カードです。童謡『ラ・ポリシネル(La Polichinelle)』の歌詞が入っています。トレード・カードの大きさはまちまちですが、7 X 11cm 未満のものが多いです。これは一回り大きい 8. 5 X 12.5cm。とても細かいところまで綺麗に印刷されていて、瞼の陰影まで表現されています。

上品に設えた野外舞台におどけたダンスをしているポリシネルがいます。何度かご紹介しているように、ポリシネルはイタリアの古典喜劇のキャラクター、プルチネッラのことで道化です。先日の操り人形のポリシネルとは対照的な道化ぶり!

舞台には何故か猫が一匹いて、冷ややかにポリシネルを見つめています。右側のスタンドのぶら下がった輪は何なのでしょうか?もしかすると、古典劇のレパートリーのエピソードに関係があるのかも知れませんが、意味は分かりません。またもや、宿題...(笑)。これは鎖らしいのですが、とても細かい輪が繋がっているんですよ、写真では確認し難いかも知れません。


観客は子どもたちばかりで、思わず笑みが溢れている子がいれば、冷ややかに見つめている子、大笑いしている子もいますね。大笑いしているのが分かるように、カードを見ている私たちに顔を向けています。これは着目すべき点です。

左側には細い樹とベンチがあり、ポリシネルは野外舞台で演じていることが分かります。そして舞台の手前には観客がいて、その外側にはカードを見つめる私たちがいて...という、入れ子のような構造が出来上がっているんです。核に当たる部分は舞台ですから、小さな宇宙の中心でポリシネルがおどけているわけです。

それにしても、古びた真鍮のような金彩の飾りが付いた薄緑の舞台、金色の房のある珊瑚色のカーテン(天鵞絨かな?)は素敵!子どもたちのいる空間の外枠も植物文様で飾られているので、入れ子の構造がよりはっきりするかのようです。

ポリシネルは道化らしい衣装で、色違いの帽子が歌詞を記した紙の下を抑えるようにおいてあります。ラッパは小道具でしょうが、童謡をテーマにしているのでシンボルのような印象を受けますね。

このイラストで感心したのが、ポリシネルの影です。煙のごとく消えそうですし、ポリシネルに合わせないで、勝手な動きをしそう。

歌詞を訳してみました(私のフランス語力は低いので参考程度に...)。「あれは誰?/ポリシネルだよ、お嬢さん/あれは誰?/ここにいるのはポリシネル/へんちくりんな格好で/怖がらせているけど/あなたに自作の歌を/聴かせたいんだってさ」

調べてみたら、三番までありました。まあ、たわいも無い歌詞なんですが...(笑)。

2012/01/29

異形の契り


1906 年にエリーズ(Elise)という女性からパリ在住のリディ(Lydie)という女性に宛てたポストカード。「みんなにキスを送ります(Je vous embrasse tous)」というメッセージが添えられています。

今回の写真はシュールかつグロテスクな幻想趣味のポストカードで、昔の恐怖小説のような趣があります。

ポストカードの下に金色のインクで「女の子は娘(お人形)とポリシネルを結婚させます(Madame Bébé marie sa fille à Monsieur Polichinelle.)」と印刷されています。介添人のように見える女の子はお人形の持ち主、つまり、お母さんなんですね。同じ金色のインクで少女のネックレス、ポリシネルの衣装の飾りが手描きされています。また、薄いピンクと空色で二人の衣装が手彩されています。

背景は手書きのスクリーンで、教会の入り口と通りが描かれています。

左側のポリシネル氏は花嫁に比べると些か年をとり過ぎで、満面の笑みにもかかわらず、身体は硬直気味。写真では分かりづらいのですが、皺だらけの顔に頬紅で施した様子は映画『ベニスに死す』のアッシェンバッハを思い出してしまいました。ポリシネルはイタリアの古典喜劇「コンメディア・デッラルテ」の定番キャラクター(ストック・キャラクター)の道化です。結婚式からかけ離れた奇妙な衣装で着飾っているのも納得ですね。靴を履かず、リボンで飾った足元は操り人形の不自由さを強調するかのようです。竹馬で歩くような感じになりそうです。

さて、主役の見目麗しいお人形は貞淑をイメージさせるウエディング・ドレスをまとい、目を見開いたままです。幸せそうというより、戸惑いや恐怖の相です。不釣り合いな花嫁と花婿は、道の先に何を見ているのでしょうか。

お母さん役の少女はレースのワンピースと花で飾った帽子、リボン付きの白い靴でお洒落をしています。少女だけがカメラに真っ直ぐ視線を据えて、含み笑いをしているように見える...、ここがこの写真の一番怖いところです。

2012/01/24

イクトゥス

タイミングを逃してしまいました...。今日は、アンティーク屋さんからおまけで頂いた(有り難うございます♪)スウェーデンの小さな小さなヴィンテージ・ポストカードをご紹介します。昔のポストカードは定型が概ね 14cm X 9cm ですが、このカードは 10cm X 7cm です。


今回は裏面から。1954 年 12 月 27 日にウプサラ市内からウプサラ市内へ郵送されています。メッセージの欄には「素敵なクリスマスと新年
を、~より(God Jul och Gott Nytt År tillönskar av )」と予め印刷されています。名前はアルファベートのみなので、男女の区別はつきませんが、表面のイラストを見ると、女の子に宛てているんだろうなと思います。「スウェーデン製(Svensk Tillverkning)」と印刷されているだけで、会社名はどこにも印刷されていません。


横線、あまり見えないかも...

切手はスウェーデン(Sverige)と 10(オーレ/近年まで使われていた補助通貨の最小単位)、誰だか不明なのですが、男性のプロフィールがあるのみのシンプルなデザイン。細かな横線に目を奪われました。


では、表面へ。北欧好きの方が喜びそうなイラストかも知れないですね。カゴにはプレゼント、手には赤い封蝋の付いたグリーティング・カード。分厚い手袋とマフ。雪が降って寒そうですが、足元は素足にブーツ(笑)。ブーツの赤いボンボンがサンタクロースの帽子に合っていますね。緑のワンピースはふかふかの襟とリムが付いていて温かそう。右下に水色のイクトゥス(交差した二本の線で描いた魚でキリストを意味する)を彷彿とさせる魚のマークが添えられています。


紙質は厚くて、ざらざらした感じなので、素朴さが出ています。54 年なので石版印刷ではありません。

葉書からはみ出さんばかりの構図と昔っぽい女の子のイラストが魅力です。

2012/01/22

五感

今日はシュールなクロモスをご紹介します。すごく気に入っていて、年末年始のお買い物 No. 1 です。

タイトルは「五感(Les Cinq Sens)」ですが、購入したお店のオーナーの方が「私の五感」というタイトルをつけて販売していたものです。このタイトルに惹かれて、「商品の詳細を見る」をクリックしたと言っても過言ではありません。

少年がラッパを吹くと、猿たちがたちまち現れ、好奇心のおもむくまま、せわしく動いています。


単純なイラストなのに印象が強いのは、少年の無表情とラッパを吹くという行為なのかなと思います。身なりの良い大人しそうな少年がラッパを吹いた途端、現実世界は少年の内部に切り替わり、そこには少年自らが登場します。ラッパは欲望を体現したような猿たちをたちまち呼び寄せ、少年は餌を与えながら、猿の五感を目一杯刺激し、操る奇妙なショウを開始します。

ラ・メゾン・ドレ(La Maison Dorée)というパリにあった百貨店のトレード・カードで、扱い商品としてインテリアやアパレルが紹介されています。背景は 1900 年前後に多く見られる金彩。

私にとって、ちょっと貴重なクロモスです。

2012/01/15

3年経過

昨年の大晦日でブログが3年経っていました。前のブログ『フィンランド語学習ジャーナル』と『幻灯館』から数えて3年です。それに合わせて、3歳を祝うアンティークの記念カードを購入していたのに、すっかり忘れていました...。


レネ・クローク(Rene Cloke)のイラストに、植物文様をエンボス加工した金色のシールが大胆に貼り付けられたカードです。クロークは英国で 1905 年に生まれているので、私が敬愛するマーガレット・タラント(Margaret Tarrant)の活躍時期と重なっているはずです。1900 年代半ばに活躍した英国人の女性イラストレーターは何人かいて、絵本だけでなく、ポストカードの制作会社と直接契約して定期的な仕事を確保していました。このポストカードはロンドンで 1851 年に創業した Valentine & Sons の制作です。Valentine 社は 1960 年代に買収され、さらに 1980 年に有名な Hallmark 社に買収されて、名前が消えてしまいます。1994 年には工場が閉鎖され、完全に幕が閉じられました。

手元のカードは 1949 年7月6日にケント州マーゲイトから同じマーゲイトへ送られていま。Miss R. Warrior 宛になっているので、彼女の三歳のお祝いだったのでしょう。

さて、肝心のイラストですが、シスリー・メアリー・バーカー(Ciseley Mary Barker)のようなテイストです。絵本で活躍した当時の女性イラストレーターたちは、必ずと言っていいほど、背中に昆虫の羽がついた小さな妖精の絵を少なからず残しています。流行だったのかも知れません。

欧米には赤い実のなる木が多く、調べてみましたが、葉の形状がどれとも一致しませんでした。鳥の正体も不明...。宿題です(笑)。そして、メッセージが印刷されています。3年の長い月日をかけて、乳児期を脱したことへ一抹の寂しさを覚えるものの、良い子に成長しているから、これで良かったんだのという内容。

2歳、3歳のバースデー・カードはよく見かけますが、他の年齢は記憶にありません。探してみようと思います。

2012/01/14

美しき女庭師

バッグに入れっぱなしだった気の毒なクロモス...。

1900 年前後は共布ではなく、着物の帯のように独立した布でロー・ウエストの位置を飾っていたんですね。こういうファッションのクロモスはたくさんあります。女の子の賢そうな表情が気に入りました。比較的粗い石版印刷ですが、椅子の深紅の天鵞絨の陰影や洋服のひだがよい感じに表現されています。このパレット型のカードは複雑なカッティングと上方を飾る切り込みの模様に特徴と魅力があります(綺麗に撮影できず、残念)。そのせいか、あっさりした絵柄と色合いがよく合っていますね。


フランス北部のリールにあった、チコリ・ドリンクを扱う C. Beriot (セー・べリオ)というお店のトレード・カード。À la Belle Jardinière(ア・ラ・ベル・ジャルディニェール/美しき女庭師風に)というのが商品名です。『La Belle Jardinière(美しき女庭師)』はラファエロの絵画のタイトルでもあり、1820 年代から 1970 年代まで存在した百貨店の名前でもあります。そう言えば、「à la jardinière」は野菜の付け合わせのこと。料理好きのボーイフレンドが教えてくれました。素敵な言い回しだと思いませんか? ところで、表の右下の余白部分に謎の星形文様が、見えにくい色で印刷されていて、その調査に乗り出しました。でも、解ける謎だとは思っていません(爆)。


ボーイフレンドは、フランスでよく飲まれるチコリ・ドリンクは埃っほい味がして嫌いだそうです。同感。「でも、もしかして、あなたが知らないだけで、美味しいチコリ・ドリンクがあるんじゃないの?」と訊いたら、「ないっ!」とのこと(笑)。

2012/01/07

子供の物理学~その6『遠心力』~

最終回は『遠心力の応用(Application de la Force Centrifuge)』です。他のカードより、やや判りにくい絵なのですが、どうもフラフープに水を適量入れた硝子コップを取り付け、フラフープに結んだ紐を持って、カウボーイのようにフラフープを頭上で振り回している様子なんだと思います。遠心力でコップから水がこぼれない、ということなのでしょう。絵に表すのは難しそうですね。何だか、理科少年が芸を実演しているように見えます...。


樹を利用したベンチにいる女の子は双子ではなさそう。お揃いの麦わら帽子がブロンドに映えています。小さな女の子がフラフープを持っていますが、フラフープの歴史は古代にまで遡るほど古く、百年前後前のトレード・カードでもよく見かけまるモチーフです。私が知っている限りでは、女の子たちが手にしているので、この頃は、男の子より女の子の間で盛んだったのかも知れません。

よく見ると、小さな女の子は硝子コップも持っています。この時代の硝子は今のような技術力で製造されていないので、特に普段使いの製品には気泡が入っている場合が多いです。お洒落なものだと、化学薬品を使って表面処理をしながら、細かな模様をエッチングしてあります。繊細という言葉がぴったりです。だから、理科少年は気泡入り硝子コップを使っているものと思われます(笑)。

庭はかなりの広さのようですし、右上のベランダなどを見ると、当時の中産階級が相当な階級であることが想像できますね。

2012/01/03

子供の物理学~その5『虹を創ろう』~

今回は『太陽光のプリズムとスペクトル(Prisme et Spectre Solaire)』のカードです。1904 年当時にはブラインドがあったようですね。太陽光が部分的に差し込むように、下ろしたブラインドの一部に細工をします。さらに、太陽光を制限的に使えるように、二ヶ所に穴を空けた板を使います。穴から差し込む太陽光を、ひとつはそのままテーブルの黒い紙に落とし、もうひとつはピカピカの硝子コップで反射させて、その反射光をそのまま落ちている太陽光の上に重ね合わせます。黒い紙とコップの間に虹が現れました!


理科少年がいつもより慎重な面持ちで実験に臨んでいます。薄暗くした部屋に小さな虹が現れるのは、天体の神秘に相応しいシチュエーションですね。女の子は宝石を見るようなうっとりとした眼差し、男の子たちは科学への興味が益々増した様子。右側の女の子はアン・シャーリーの憧れのようなワンピースを着ています。膨らんだ袖、フリル・カラー、ベルト代わりのたっぷりした赤い布は光沢がありそう。お人形もほぼ同じファッションです。この頃は、女の子とお人形を組み合わせたポストカードやトレード・カードが山ほど作成されています。玩具が少ない時代ですから、中流家庭ではテディベアとお人形が中心の遊びだったのかも知れません。

子供の物理学~その4『噴水』~

今日は『噴水(Source Jaillissante)』です。お天気が良いので、庭へ出ましょう。水は低きへ流れるものですが、ホースなどの管を通して一工夫すれば、水は上へ向かって移動します。注目は二つに割った大きな南瓜!中をくり抜けば、立派な器にして実験道具になります。片方は三又みたいな樹の上に置き、水をどんどん注いで行きます。ホース内の水の量と注水量がある限界を越えました。真ん中で座っている男の子がホースを握り、ホースの直径を狭めることで、水の流速を一気に加速させます。手作りの「噴水装置」から勢いよく水が噴き上がりました。噴水のプールは南瓜です。


野生の草花が赤・白・ピンクの花をつけて、庭を彩っています。春の終わりから初夏の風景なのか、草が繁り、双子の女の子は麦わら帽子に半袖。男の子たちは学校から帰って来たような洋服です。昔はセーラー・カラーの服は男の子たちの間で頻繁に着用されていて、記念撮影のアンティーク写真でもよく見かけます。

最後に如雨露で水を運ぶ、実はこの実験で最大の功労者の女の子に注目してください。小さな赤いボンボンの縁取りがあるチュール・レースのハイカラーがお洒落ですね。こんなお洒落な子を働かせるとは!(笑)

2012/01/01

子供の物理学~その3『紙の人形を踊らせよう』~

今日は『紙の人形のダンス(Poupées de Papier Dansantes)』です。二冊の分厚い本に硝子板を挟みます。硝子板とテーブルの間は2~3センチ程度の隙間が空くようにし、隙間の高さより小さな紙の人形を寝かせます。硝子を布で強く摩擦し、静電気を起こせば、ほら、人形が立ち上がって踊り始めました。

あまりの驚きと面白さに子どもたちは紙の人形に目が釘付け。本物の人形は床にほったらかし(笑)、木馬も知らん顔されています。理科少年が披露する魔術師のような妙技は大成功でした。


この部屋はグリーンが基調で、右奥の小さな暖炉が慎ましやか。質素な部屋に見えますが、子どもたちのファッションは当時の中流階級という感じがしますね。左の女の子のエプロン・ドレス、もう一人の女の子のフリル・カラー、男の子たちのニッカー・ボッカーなど、このシリーズは、子どもたちの洋服を眺めるのも楽しみのひとつです。

しかし、紙の人形が形代に見えます...。

2011/12/31

子供の物理学~その2「均衡の考察」」~

今日は「均衡の考察(Problème D'équilibre)」のカードです。

少年の部屋。赤いセーラーカラーのジャケツに赤いタイツがこの部屋の主人。ここで、日々、科学に胸をときめかせながら、頭を悩ませているのでしょう。

今日は同級生二人を招いて、均衡の不思議を解き明かそうとしています。「均衡とは真の中心を探すことなんだ」と少年が熱っぽく語ると、「この場合、中心とは必ずしも真ん中を指すわけじゃない。そう、ぐらつきそうでぐらつかない、針でつついたぐらいの小さな点を求めるんだ」と哲学者気取りで友だちが続けます。

テーブルに置いた教材は下の薄茶色の箱に入っていたものを組み立てたのでしょうか。


壁側に目を向けると、物理を含む科学を扱った小難しそうな本、毎晩、飽かずに眺める図鑑やらが並んでいそうな本棚。下の扉を開けると、教材や手作りの実験道具がぎっしり詰まっていそう。

ヨーロッパと北アフリカの地図の横には、お父さんから譲り受けた地球儀があります。真鍮のずっしりした台座の上で地球はぐるぐる回っています。赤いビロードのカーテンを開くと、アフリカ産やアジア産の珍しい植物が花を咲かせていて、植物学者のように拡大鏡で花弁を見つめたり、昆虫学者のように花の周りに集く虫を観察することもあります。

でも、あくまでも、僕は物理学者になるんだ!少年の夢でいっぱいになった日記帳は今にも鳥のごとく羽ばたきそうに見えます。

2011/12/30

子供の物理学~その1「投光」~

冬期休暇が七日あるので、またもや連載してみます。


Liebig の6枚組のトレード・カードです。このセットタイトルは『子供の物理学(Physique Enfantine)』で、ベルギーの専門店のデータベースによると、1904 年の発行。私が購入したのはフランス語版です。

今回紹介するカードのタイトルは『投光(Projection Lumineuse)』で、枠の外に「Voir l'explication au verso(説明は裏面を見てね)」とあり、二つの像を重ね合わす実験方法の手順と目的が記載されています。

Liebig のカードを購入し始めて感動したのは、印刷の美しさです。たとえば、今回のカードだと、蝋燭の炎の揺らぎ、蝋燭の灯を反射する子供たちの金髪、壁と床に映った子供たちの影...。石版印刷独特の微細な点が集まり、オフセットに比べて、濃密な世界が創り出されています。革靴の感触までも表現出来ていて、驚嘆!の一言...。温かみを感じさせるテーブルクロスも見逃さないでください。

子供たちの好奇心に溢れた眼差しと、実験を披露して、生き生きとしている理科少年が愛らしいですね。

100 年以上経っているとは思えない非常に状態の良いカードです♪

2011/12/11

金星

アールヌーヴォーに科学趣味を少し加えたクロモスです。女神と左側の植物的なフレームは典型的なアールヌーヴォーなのに、女神が乗っている貝殻に玩具のような車輪がついています。女神を白い鳥が誘導するデザインはよく見かけます。女神のローブや髪型はベル・エポックな雰囲気ですね。


あくまで私の推測ですが、このパリ万博(1900 年)の頃のものではないか?と思っています。なんだか、ジュール・ヴェルヌを思い出しますね。

素敵なトレード・カードをたくさん出したショコラティエの Chocolat Poulain のものです。左のフレームには、金星(Venus)の大きさ、地球からの距離など、プロフィールが書かれていて、下は急に宣伝文句が!「他のショコラティエとは比較にならない最高の味と品質」...そうだった、これはトレード・カードだった(笑)。

2011/12/04

天使とシャーロット

1909 年 12 月 15 日に投函されたクリスマス・カード。天使のドレスの部分の金彩がかなり剥がれていますが、まったく気にならないほど、魅力に満ちた天使です。羽根の形が綺麗...。


実は最初に目に留まったのが夜空の色です。背景のブルーとグリーンが混じった色が、この天使の雰囲気に溶け合うようにマッチしています。


裏面は、知人か親戚の家に帽子を忘れた人が、「残念だけど、クリスマスまでに取りに行けなさそうなの。あなたに届けてもらうわけにもいかないし、あ、クリスマスには来て頂いてもいいのよ。でも、どうか無理はなさらないで。帽子なんて何とかなるわ。本当に気にしないでちょうだい。心配は無用よ...」ということが延々と書き綴られていています。『眺めのいい部屋』のシャーロットみたいで、笑ってしまいました。

2011/12/03

小さな小さなロココ世界

ロココなクロモスです。三人とも 10cm 未満。


ミクロなロココ世界が繰り広げられます。


私はこの人になって幻想の扉を開けるとしましょう。

(裏はアルバムなどに貼っていた痕跡あり。昔から三人でいたのでしょう)

Gladys Cooper

Gladys Cooper(グラディス・クーパー)という長い間活躍した女優をモデルにしたポストカードです。未使用なので、いつごろのものか分かりませんが、Gladys は 1888 年生まれで、1905 年に舞台デビュー、モデルとしても引っ張りだこ、1908 年に最初の結婚ということから、1905 ~1908 年の結婚前だろう...と勝手に推測しています。頬に施した薄いピンクが見事です!

裏は hand painted real photograph(写真に手彩)で、British Beauty というテーマで写真撮影した中の一枚を絵葉書にしたようです。Miss Gladys Cooper や Printed in Britannia という表記に時代性が感じられます。しかも、裏の印刷は傾いていて、何とも言えない味わいが...(笑)。

息の長い女優生活だったようです。私が観たのは、ヒッチコックの『レベッカ』だけで、しかも主役はローレンス・オリビエとジョーン・フォンテーンですから、記憶にあらず...の状態。でも、その美貌ゆえ、彼女をモデルにした数多のポストカードは、人の手から手へと渡って行きます。

2011/11/24

大事に集める


こういうクロモスも大好きです。ただ、あまり積極的には集めていません。でも、これから集めるかも...(笑)。


アンティークのクロモスはこのようにバラ売りのものが多いのですが、もともとはこんな感じでくっついています。今でもドイツでは販売していますが、みんな何に使っているのかなあ?


昔は愉しみが少なかったから、女性がアルバムに貼って大事にしていたそうで、たまにアルバムごと販売しているのを見かけます。クロモスの裏に剥がし跡があるのは、一時期、誰かのアルバムで大事にされていた証拠なんではないか...、そう思うので、私は余程じゃない限り、剥がし跡 OK です。実は、女の子は糊の痕が残っているんですよ。


最近、複数のアンティーク屋さんのブログに、本場のフランスへ出かけても良いポストカードが激減しているとか、アンティーク・カードの専門店が閉店しているとかいう記事を目にします。

自分のもとへ来たアンティークは大切にしなくては!と、つくづく感じています。

2011/11/23

続・ハレー彗星来たる

続きです。


文章で記録(絵も写真も済んだから、今度は彗星の様子を文章で残そう。夜の学校に忍び込んで、しめしめ、天体望遠鏡を拝借)

一人が天体望遠鏡で彗星を追跡、二人で記録、一人は爆睡(笑)。いますよね、こういうタイプ。床の感じと伸びた影が好きです。椅子の脚がお洒落♪


解決方法(餌で釣る(笑)。おやつを我慢した甲斐があるかな?美味しいチョコレートだよ)

チョコレートで彗星を誘き寄せようという算段は微笑ましいですね。多分、このあとの場面が「高度な運動」なのでしょう、今、気が付きました (^^;;

このシリーズは、Chocolat Louit(ショコラ・ルイ)のトレード・カードです。ネットで調べても、他のお店や会社の名前になっているのを見たことがないので、このショコラティエのオリジナルなのかも知れません。

あと、二枚。いつ私のもとに来るのかなあ?

2011/11/20

ハレー彗星来たる

先週末は映画『Moneyball 』を二回観て、水曜の夜も観てきました。諸事情で事実を脚色した点が非常に多いようですが、面白かったです。Jonah Hill 演じる分析担当者に魅力を感じました。原作はセイバーメトリクスにも重点が置かれているので、さらに面白いですよ。だけど、映画と原作はテーマが別物だと考えた方が良いですね。

さて、分析→科学→天文という強引な関連付けで、星を観測する少年たちのクロモをご紹介します。1910 年のハレー彗星接近をテーマにしていて、おそらく 1910 年ごろのものです。ここには、児童文学(科学もの)のワクワクが詰まっています!!「色彩感触(→造語です(笑))」も少年少女科学読物全集的な挿し絵みたいでお気に入り♪


絵本版『Kometen Kommer(彗星が向かって来る/『ムーミン谷の彗星』より)』

ハレー彗星の尾はあまりに大きくて、地球が尾の中を通過したそうです。尾の部分の気体はごくごく薄くて、地球に影響はなかったそうなのですが、いろいろな噂が飛び交って一部の人々は大騒動をしたようです (^^;; そう言えば、ムーミンにもハレー彗星をテーマにした一冊がありましたっけ。



実体の不在:彗星の形を表してみよう(彗星は捕まえられない:彗星をスケッチしたり、撮影しよう)


高度な運動(高く飛び上がれば彗星を捕まえられるかな?)

6枚組みのシリーズですが、残念ながら、そのうちの5枚しか見たことがありません。4枚買い集めたので、残りの2枚が現れるのを気長に待とうと思います(フランスのクロモです)。