レネ・クローク(Rene Cloke)のイラストに、植物文様をエンボス加工した金色のシールが大胆に貼り付けられたカードです。クロークは英国で 1905 年に生まれているので、私が敬愛するマーガレット・タラント(Margaret Tarrant)の活躍時期と重なっているはずです。1900 年代半ばに活躍した英国人の女性イラストレーターは何人かいて、絵本だけでなく、ポストカードの制作会社と直接契約して定期的な仕事を確保していました。このポストカードはロンドンで 1851 年に創業した Valentine & Sons の制作です。Valentine 社は 1960 年代に買収され、さらに 1980 年に有名な Hallmark 社に買収されて、名前が消えてしまいます。1994 年には工場が閉鎖され、完全に幕が閉じられました。
手元のカードは 1949 年7月6日にケント州マーゲイトから同じマーゲイトへ送られていま。Miss R. Warrior 宛になっているので、彼女の三歳のお祝いだったのでしょう。
さて、肝心のイラストですが、シスリー・メアリー・バーカー(Ciseley Mary Barker)のようなテイストです。絵本で活躍した当時の女性イラストレーターたちは、必ずと言っていいほど、背中に昆虫の羽がついた小さな妖精の絵を少なからず残しています。流行だったのかも知れません。
欧米には赤い実のなる木が多く、調べてみましたが、葉の形状がどれとも一致しませんでした。鳥の正体も不明...。宿題です(笑)。そして、メッセージが印刷されています。3年の長い月日をかけて、乳児期を脱したことへ一抹の寂しさを覚えるものの、良い子に成長しているから、これで良かったんだのという内容。
2歳、3歳のバースデー・カードはよく見かけますが、他の年齢は記憶にありません。探してみようと思います。