2012/01/08

リスベット

推理小説を久々に読みました。『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』です。冬季休暇の最終日(水曜日)、暇潰し(千円程度の価値だと値踏み)に『ミッション・インポッシブル』を観たときに、前とは違うヴァージョンの『ドラゴン・タトゥーの女』のトレーラーが流れました。無性に原作が読みたくなり、通勤時間をフルに使って、あっという間に読み終えました。細かなことを書き連ね、核心に届くまで膨大な頁を割くのは京極夏彦で慣れているので平気でしたが(笑)、冗長さは否めません。犯人は上巻で何となく目星が付きますし、小説の核心は書けませんが、こうなるだろうと見えて来ます。一方的な主人公の勝利にも不満が残るところです。


主に、主人公のミカエルとリスベットだけで保たれている作品だとは言え、『ディーバ』と重なるような魅力があります。ピカレスク・ロマンに通じるリスベットの存在があるからでしょう。リスベットというキャラクターに出会うだけでも、この小説を読み切る価値はあると思います。また、否応なく社会の矛盾に倒される弱者への鎮魂歌であること、その弱者のひとりであるリスベットによる痛快なまでの冷めた反撃は、読者の琴線に充分触れるテーマとモチーフだと思いました。小説の締めくくりはリスベットに新たな現実を突き付けますが、次の作品ではどうなって行くのでしょうか。

ところで、スウェーデン語版の表紙はまるで『ツインピークス』...。

では、『ミレニアム2』を買いに出かけます。ついでに、懐かしいスウェーデン語を聞きたくて、数年前に制作されたスウェーデン版の DVD『Män Som Hatar Kvinnor』を予約しました。スウェーデンのサイトでは評判は上々なので、すごく愉しみ → 結局、夢中...。