2011/12/31

お礼

読み続けてくださる方も、画像検索で偶然アクセスして頂いた方も、本年は有り難うございました。

たくさんの悲しみを背負ったまま、多くの被災者の方が同じ大晦日という時間を過ごしています。無力な祈りながら、気持ちを東北へ向けて、24時を迎えたいと思っております。

子供の物理学~その2「均衡の考察」」~

今日は「均衡の考察(Problème D'équilibre)」のカードです。

少年の部屋。赤いセーラーカラーのジャケツに赤いタイツがこの部屋の主人。ここで、日々、科学に胸をときめかせながら、頭を悩ませているのでしょう。

今日は同級生二人を招いて、均衡の不思議を解き明かそうとしています。「均衡とは真の中心を探すことなんだ」と少年が熱っぽく語ると、「この場合、中心とは必ずしも真ん中を指すわけじゃない。そう、ぐらつきそうでぐらつかない、針でつついたぐらいの小さな点を求めるんだ」と哲学者気取りで友だちが続けます。

テーブルに置いた教材は下の薄茶色の箱に入っていたものを組み立てたのでしょうか。


壁側に目を向けると、物理を含む科学を扱った小難しそうな本、毎晩、飽かずに眺める図鑑やらが並んでいそうな本棚。下の扉を開けると、教材や手作りの実験道具がぎっしり詰まっていそう。

ヨーロッパと北アフリカの地図の横には、お父さんから譲り受けた地球儀があります。真鍮のずっしりした台座の上で地球はぐるぐる回っています。赤いビロードのカーテンを開くと、アフリカ産やアジア産の珍しい植物が花を咲かせていて、植物学者のように拡大鏡で花弁を見つめたり、昆虫学者のように花の周りに集く虫を観察することもあります。

でも、あくまでも、僕は物理学者になるんだ!少年の夢でいっぱいになった日記帳は今にも鳥のごとく羽ばたきそうに見えます。

2011/12/30

映画を求めて

ヴィム・ヴェンダースの『Pina』の前売り券を購入。3D版だそうで、その点も楽しみ。大昔、公演のチケットを取れなくて、それっきりになっていたので、臨場感のある3Dで追体験できるといいなと思います。


貰ったチラシの中で、ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』が目に留まりました。随分前に観た『奇跡の海』の監督作品なので、何となく信用できそう(笑)。チラシがすでに「ドラマ」で一見の価値があり。

実は映画を観たくて、ブルク13に行ったのですが、がっかりのラインアップ。お正月休みの間に『フェアゲーム』を観に行くことにしました。筋金入りのルメット・ファンなので、こういう映画も大好き。でも、寒いから銀座まで行くのが億劫 (-_-;)。

子供の物理学~その1「投光」~

冬期休暇が七日あるので、またもや連載してみます。


Liebig の6枚組のトレード・カードです。このセットタイトルは『子供の物理学(Physique Enfantine)』で、ベルギーの専門店のデータベースによると、1904 年の発行。私が購入したのはフランス語版です。

今回紹介するカードのタイトルは『投光(Projection Lumineuse)』で、枠の外に「Voir l'explication au verso(説明は裏面を見てね)」とあり、二つの像を重ね合わす実験方法の手順と目的が記載されています。

Liebig のカードを購入し始めて感動したのは、印刷の美しさです。たとえば、今回のカードだと、蝋燭の炎の揺らぎ、蝋燭の灯を反射する子供たちの金髪、壁と床に映った子供たちの影...。石版印刷独特の微細な点が集まり、オフセットに比べて、濃密な世界が創り出されています。革靴の感触までも表現出来ていて、驚嘆!の一言...。温かみを感じさせるテーブルクロスも見逃さないでください。

子供たちの好奇心に溢れた眼差しと、実験を披露して、生き生きとしている理科少年が愛らしいですね。

100 年以上経っているとは思えない非常に状態の良いカードです♪

2011/12/25

Winding Road to Christmas~第七夜~

第七夜は、クリスマス狂走曲@みなとみらいです。昨年から一段と混んでいるような気がしますが、コンサートやらイベントやらが増えているせいでしょうか。クリスマス商戦は若い人たちの恋愛に結びつけた戦法なので、ジュエリー・ショップは半端じゃない繁盛振り。こういとも簡単に乗せられて大丈夫なのかな、この人たち...。(^^;;


クリスマスが恋愛記念日に化けた日本@みなとみらい

数十メートル先の賑わいとは裏腹に、閑古鳥が絶叫している美術館へ。おかげで待望の『松井冬子展』 をゆっくり鑑賞できました。中程には習作が展示されていて、画家の頭の中をほんの少し見せて貰えます。代表作のひとつ『浄相の持続』は二度目の鑑賞ですが、この作品、こんなに小さかったっけ?第一印象が強かったせいで、巨大な作品だと思いこんでしまっていたようです。輪郭のない絵...、松井冬子の絵の印象です。だからこそ、観念としての絵画になっているんだろうなと思いました。代表作が一堂に集められた美術展なので、初めての方には特にお勧め。

同じく閑古鳥が鳴く元町へ移動。一人用のデリカは皆無...。ユニオンで燻製のチキンとパン・オ・レザンなどの甘いパンをいくつか購入しました。帰宅すると、ネコちゃんは熟睡中。静かにチキンを取り出したのに、ネコちゃんが飛び出してきました (-_-;) 四分の一ほどお裾分けすると、あっという間に平らげ、私にネコ・パンチをお見舞いし、寝床へ突進していました...。要するに、大満足だったようです(笑)。

ヴァチカンのメッセージがそろそろ出ているようなので、チェックしてから眠ります。

2011/12/24

Winding Road to Christmas~第六夜~

第六夜はクリスマス・カードです。アンティークのクリスマス・カード(ポストカード)には、既に様々なモチーフがありました。私が気に入っているのは、女神のような天使、クリスマス・ツリーの周囲に置かれたお人形やらぬいぐるみやらのプレゼントを前にしてお祈りしている女の子(→普段はお祈りしないに違いない)です。


サンタクロースはコレクションの対象外ですが、これは一目見て、買わなくては!と思ったカードです(笑)。サンタクロースのポストカードに背景が黒一色というのは見かけません。この背景色とコマ送りで見ているかのような林檎の落下が神秘的なイメージを作り上げているような気がします。ロシア正教の司祭がこういう被り物を頭に頂きますけど、このカードについては詳しく調べていないのでよく分かりません。宿題です。お店の説明では、1910 年頃のカードではないかとのことです。ドイツの EAS 社の製品で石版印刷。


一番好きなクリスマス・カードです。どちらも 1904 年 12 月の消印があって、左はイギリスの Raphael Tuck & Sons(数多のポストカードを企画販売したイギリスの会社)が発売したもので、プロシアで石版印刷したと記載があります。イギリスの女性に宛てていますが、表の余白に E & T と書いてあるのみ。右はフランスの K. F. Editeurs の発行で、パリ市内の男性からパリ市内の女性に宛てられています。


アンティークのポストカードは宛先だけ書いた淡白なものが多いのてすが、絵や写真を選ぶこと自体がその人へのメッセージなのかも知れません。

Happy Christmas ♪

2011/12/22

Winding Road to Christmas~第五夜~

第五夜はクリスマス・ソングです。私にとって、クリスマス・ソングは Andy Williams が歌った『Kay Thompson's Jingle Bells』と Emerson, Lake & Palmer の『I Believe in Father Christmas 』です。


まずは、子供のころ、シングル・レコードを擦りきれるほど聴いた Andy Williams から。この人は60年代から70年代の初めに人気のあったエンタテイナー系の歌手なので、聖なる感性はゼロ(笑)。その代わりに、昔のラスベガスのショウや豪華客船のディナーショウで受けそうな華やかさを堪能することができます。余りある代償だと思います(笑)。それでは、Youtube で古のラスベガス体験をどうぞ。


Kay Thompson's Jingle Bells by Andy Williams
http://www.youtube.com/watch?v=7a2u3b6-aak&sns=em



次は、我が ELP がピークを完全に過ぎた後、余興で作ったとしか思えないアルバムに収録されている佳曲にして名曲。ただし、彼らの真髄は 1st アルバムから『恐怖の頭脳改革』に遺されていますので、これが ELP だと誤解されないようお願い申し上げます(笑)。でも、望んでいるクリスマスの雰囲気をしっかり目の前に展開してくれています。


I Believe in Father Christmas by Emerson, Lake & Palmer
http://www.youtube.com/watch?v=Lqwqknq7nuI&sns=em

2011/12/21

Winding Road to Christmas~第四夜~

第四夜はプレゼントの書籍です。大学時代に洋書専門店でアルバイトしていたころ、秋の終わりからクリスマス・プレゼント向けの大判でハードカバーのピクトリアル・ブックが季節商品として集められることを知りました。絵画、写真、料理、インテリア、絵本、コレクター向けの専門書などが対象です。


当時、日本ではノーマン・ロックウェルが人気で一万円を超える豪華版の画集が飛ぶように売れて驚きました。今は洋書の価格が随分下がったので、バブルの力に驚嘆するばかりです。


欧米は様々なコレクションを楽しんでいる人向けのガイドブック(有名な商品からレアな商品、実勢価格を示したもの)、コレクションの豪華な写真集が充実しています。私もディプレッション・ガラスのものを何冊か購入しました。

プレゼントに悩んだときは、写真集や画集を洋書のコーナーで探してみては?


ムックですが、別冊太陽の『骨董をたのしむ』のシリーズは大好き。中でも昔きものの四冊は10年以上眺め続けています♪

2011/12/19

Winding Road to Christmas~第三夜~

第三夜はクリスマス・ポマンダーです。夏よりも冬の方が柑橘類の香りは引き立つような気がします。

ここのところ、アールグレイの茶葉が入った紅茶の缶にベルガモットや檸檬の精油を足しながら、アロマを愉しんでいます。精油を継ぎ足して紅茶の缶を振った後、蓋を開けると、アールグレイの香りが強くも弱くもなく香り始めます。ただ、ネコちゃんが柑橘類の香りを嫌うので、会社で使っているんですけどね...。


クリスマス・ポマンダーはスパイスを使わないで乾燥させたものを頂いたことがあります。丁子やシナモン・スティックを檸檬に差したものと、オレンジ、ライム、檸檬のスライスを乾燥させたセットでした。余程近づかないと、香りに気づかないのですが、狭い部屋では良かったかも知れません。何より、真冬の柑橘類という存在と恵みを感じさせる点が好きです。

2011/12/18

Winding Road to Christmas~第二夜~


第二夜はクリスマス・ケーキです。昨年も一昨年も書いたような気がしますが、クリームたっぷりのケーキではなく、ラム酒やブランデーが分かりやすく香るフルーツ・パウンドケーキにアンゼリカが入っていると良いですね~。昔っぽさだけで満足してしまいます。


はたまた、シンプルなチョコレート・ケーキはいかがでしょう。アイシングなしです。フルーツ・パウンドケーキにしても、チョコレート・ケーキにしても、これでは日常と変わりませんね(-_-;)


トライフルは日本人には向かないと思います。アメリカとスウェーデンで頂きましたが、フルコースの料理のあとではほぼ拷問です。


パウンドケーキでノスタルジーを演出してください(?)。

2011/12/17

Winding Road to Christmas~第一夜~

クリスマスが終わるまで、クリスマス気分に浸れるような記事を、「なるべく」書こうと思います。あくまでも「なるべく」です(笑)。


第一夜は、王道のクリスマス・ツリーです。こてこてなヴィクトリアンがやっぱり一番。


壁に貼ったツリーもなかなか良いですね。あっさりし過ぎなので、ヴィクトリアンに直したいです(笑)。


瓶の中に何か入れるとどうかなあ。


梶井基次郎が作ったツリーに違いありません。天辺に檸檬を置きたいですね♪

2011/12/15

お菓子の家


カイ・ニールセン(Kay Nielsen)の挿絵。『ヘンゼルとグレーテル』の二人がお母さんに捨てられて、森を迷った挙げ句、お菓子の家を見つけた場面です。


お菓子の家という甘美な耳障りとは裏腹に、これから展開する「魔」の時間を暗喩しています。樹々が魔物の遣いのようで、今にも動き出しそうだし、ひそひそ話しをしそう。


子供のころはお菓子の家しか印象に残りませんでしたが (^^;; 、さすがに今は、落ち着いて挿絵を鑑賞できるようになりました(笑)。

2011/12/11

エニグマ

今年は夏からちっとも散歩をしていません。今日は久しぶりにみなとみらいまで歩きました。銀杏は半分以上散ってしまい、黄葉を堪能できる環境にありながら、見逃してしまったことを後悔しました。春の華やぎとは違って、銀杏並木は明るい黄色でありながら、薄暗い冬へ皆を導きます。自分の内面へのトンネルのような気がするときもあります。


マール社、現代新書館、PIE から挿絵画家の本が目白押しですね。洋書でしか見ることのできなかった画家も紹介されていて、全部欲しくなりました。大御所のギュスターブ・ドレ、ビアズリーの流れを汲む画家のカイ・ニールセン、ジョルジュ・バルビエ以外にも、欧米で人気のあるアーサー・ラッカムやエドマンド・デュラック、日本でも比較的親しまれているウォルター・クレインやケイト・グリナウェーといった画家まで幅広くセレクトされていてお勧めです。アンドリュー・ワイエスのお父さんのイラストを初めて見ることができましたし、生田耕作の本で知ったアラステアの絵がたくさん掲載されていて、自分へのクリスマス・プレゼントが、今日、立ち読みがきっかけで決まりました(笑)。


多彩な才能と謎だらけのアラステア当人...。クラウス・ノミみたい。

金星

アールヌーヴォーに科学趣味を少し加えたクロモスです。女神と左側の植物的なフレームは典型的なアールヌーヴォーなのに、女神が乗っている貝殻に玩具のような車輪がついています。女神を白い鳥が誘導するデザインはよく見かけます。女神のローブや髪型はベル・エポックな雰囲気ですね。


あくまで私の推測ですが、このパリ万博(1900 年)の頃のものではないか?と思っています。なんだか、ジュール・ヴェルヌを思い出しますね。

素敵なトレード・カードをたくさん出したショコラティエの Chocolat Poulain のものです。左のフレームには、金星(Venus)の大きさ、地球からの距離など、プロフィールが書かれていて、下は急に宣伝文句が!「他のショコラティエとは比較にならない最高の味と品質」...そうだった、これはトレード・カードだった(笑)。

2011/12/04

天使とシャーロット

1909 年 12 月 15 日に投函されたクリスマス・カード。天使のドレスの部分の金彩がかなり剥がれていますが、まったく気にならないほど、魅力に満ちた天使です。羽根の形が綺麗...。


実は最初に目に留まったのが夜空の色です。背景のブルーとグリーンが混じった色が、この天使の雰囲気に溶け合うようにマッチしています。


裏面は、知人か親戚の家に帽子を忘れた人が、「残念だけど、クリスマスまでに取りに行けなさそうなの。あなたに届けてもらうわけにもいかないし、あ、クリスマスには来て頂いてもいいのよ。でも、どうか無理はなさらないで。帽子なんて何とかなるわ。本当に気にしないでちょうだい。心配は無用よ...」ということが延々と書き綴られていています。『眺めのいい部屋』のシャーロットみたいで、笑ってしまいました。

2011/12/03

小さな小さなロココ世界

ロココなクロモスです。三人とも 10cm 未満。


ミクロなロココ世界が繰り広げられます。


私はこの人になって幻想の扉を開けるとしましょう。

(裏はアルバムなどに貼っていた痕跡あり。昔から三人でいたのでしょう)

Gladys Cooper

Gladys Cooper(グラディス・クーパー)という長い間活躍した女優をモデルにしたポストカードです。未使用なので、いつごろのものか分かりませんが、Gladys は 1888 年生まれで、1905 年に舞台デビュー、モデルとしても引っ張りだこ、1908 年に最初の結婚ということから、1905 ~1908 年の結婚前だろう...と勝手に推測しています。頬に施した薄いピンクが見事です!

裏は hand painted real photograph(写真に手彩)で、British Beauty というテーマで写真撮影した中の一枚を絵葉書にしたようです。Miss Gladys Cooper や Printed in Britannia という表記に時代性が感じられます。しかも、裏の印刷は傾いていて、何とも言えない味わいが...(笑)。

息の長い女優生活だったようです。私が観たのは、ヒッチコックの『レベッカ』だけで、しかも主役はローレンス・オリビエとジョーン・フォンテーンですから、記憶にあらず...の状態。でも、その美貌ゆえ、彼女をモデルにした数多のポストカードは、人の手から手へと渡って行きます。

早起き

12月に入ったことを思い出させるような冷たい二日間でした。今日は17℃ になるそうですが...。

ネコちゃんに起こされて、眠れなくなりました。ご飯をたくさん食べたネコちゃんは、すでに白川夜船です...(-_-;)