Liebig の6枚セットの中の一枚。
トレード・カードは6~8枚でひとつのシリーズになっていることが多いです。一式で販売するのを好むお店とバラ売りを好むお店があり、私はどちらかと言うと、バラ売りを購入して、好きな絵だけを手元に置くタイプです。
でも、これは別でした。全部頂きますっ!という興奮状態でしたから(笑)。
Liebig(リービヒ)はドイツにあった食品会社で、そのクロモスは熱心なコレクターがいるほどです。ドイツ語、フランス語、イタリア語など、複数の欧州言語バージョンが作られていたので、お気に入りのシリーズは全言語を揃えている方もいらっしゃいます。1872~1974 年まで出し続け、1800 種類を超えているそうですから、人気が高かったのでしょうね。私のセットはドイツ語版で 1898 年以降のものです。
一式のテーマは『謝肉祭の小夜曲』。このカードのタイトルは「月に寄せて(An Den Mond)」、そうです、ゲーテの詩です。
Was, von Menschen nicht gewußt
(誰に知られることも)
Oder nicht bedacht
(気にかけられることもなく)
Durch das Labyrinth der Brust
(心の迷宮を通って)
Wandelt in der Nacht.
(夜を彷徨う者は幸せだ)
お粗末な訳で申し訳ないのですが、詩のこの部分を思い出しました。
左からカピタン・フラカス、アルルカン、プルチネッラ(道化師)、ピエロが河(湖?)を眺めながら、音楽を演奏しています。お決まりの叶わぬ恋の唄ではなく、人生の儚さや無常を唄う方が、月に対峙し、見る側に背中を向けた構図に合っていると思いませんか?月が波に砕けて揺蕩うのを見ていると 、幻想世界への扉が開かれそうな気がします。
An Den Mond (D.296) by Franz Shubert
http://www.youtube.com/watch?v=LZaDCFWI7_g&sns=em