先週末、『英国王のスピーチ』を観てきました。初日の夕方だけど、いつものお気に入りの席が当日とれる程度の入り。大学ではイギリス文化専攻だったので、ジョージ6世についても「ささっ」と勉強していたのですが、短命だったのは厳しい状況(兄の女性問題と急な王位退任、時代の過渡期、ドイツへの宣戦布告、退位後の兄の親独的な動き)で心理的ストレスがあまりに大きかったと聞いていました。また、戦時中は毅然とした態度で王妃とともに宮殿に残ったこと、それがきっかけで戦後に評価があがり、王室と国民との距離が縮まったということを習ったような記憶があります。ですから、この映画の中心となる吃音の克服に関するストーリーは意外でした。
映画自体は興味深いし、感動的でした。国王のことだとは言え、人としての苦悩を扱っていますから、感情移入が容易です。イギリス文化を勉強した人であれば、楽しいネタも見つけることができます。加えて、俳優の演技は一流だし、見るべき映画なのでしょう。だけど、感動させることを前提として、国王と連邦国出身の平民の専門家との友情を取り上げているからか、最後は国王を救った専門家がヒロイックに描かれ、「ちょっと...」な気分でした。
私の中ではイギリス的な映画というと、ジェームス・アイボリーの『眺めのいい部屋』が、やはり、一番なんだなあ…。
「大英帝国」なヘレナ・ボナム=カーター、大好き(笑)そして、結局は原作を購入してしまいました(笑)。